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生まれたばかりの赤ちゃん

 厚生労働省は14日、出産時にかかる標準的な費用の自己負担を無償にする方針を検討会に示した。2026年度をめどに、無償化に向けた具体的な制度設計を検討する。実際に無償化になる時期は定まっていない。

 正常分娩は公的医療保険の対象外だ。出産に対しては出産育児一時金を支給する制度があり、23年に50万円に増額されたが、出産費用が年々上昇している。地域間、施設間の差も大きい。

 23年に政府が閣議決定した「こども未来戦略」では、26年度をめどに保険適用の導入を含めた検討を進めると明記。これを受け、厚労省は妊婦への支援策を議論する検討会を設置し、妊婦の経済的負担の軽減に向けて、議論を重ねてきた。

 14日の検討会で厚労省が作成した議論の整理案には、「標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進めるべき」だと盛り込み、検討にあたっては、医療提供などの実態や費用構造を分析して踏まえる必要性も掲げた。

 出産費用は現在、各医療機関が設定している。保険適用する場合、国が全国一律で出産費用の公定価格を決めることが想定されるため、経営が成り立たなくなる施設が増えるとして、産婦人科医の団体は強く反対してきた。

 厚労省幹部は「保険の点数を全国一律で決める、というのはさすがに難しい。従来と同じような狭義の保険適用ありきではないと考えている」と話す。制度設計には時間がかかる見通しで、厚労省幹部は26年度の保険適用は難しいと口をそろえる。

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